マリーゴールドの花でインド木綿のガーゼストールを染めました。草木染めは、誰にでも手軽にできる楽しい手仕事のひとつです。手順はだいたいどの植物を使っても同じ。一度手順を覚えてしまうと、次から次へと染めてみたくなります。小さな台所で、身近な道具を使って、安全に楽しく染める、そして幸せな気分に包まれましょう。自然がもたらす力や癒やしってすごいなぁと日々実感しています。
1.布を準備する
草木染めでは、動物性の布や糸(絹、毛)は染まりやすいけれど、植物性の布や糸(綿、麻)は染まりにくい。それは、綿や麻にはたんぱく質がないから。そこで、草木染めで一番面倒に感じる「たんぱく処理」を行います。大豆のご汁や、無調整豆乳に布地をよく浸してから、よく絞って、カラカラになるまで干します。お天気の良い日を狙って短時間で乾かしたいところ。なぜかというと、布からポタポタと豆乳がたれてしまい、ベランダが汚れるから!
2.布を水に浸けておく(地入れ)
わざとムラを出したい時は、たんぱく処理済みのカラカラに乾いた布を、ダイレクトに染液に入れてしまいますが、なるべくムラを出したくない場合は、最低1時間くらいは布を水に浸しておきます。繊維の奥までしっかりと水が行き渡ると、染液に入れた瞬間、スムーズに布の隅々まで染液が行き渡るようなイメージ(かな?)。
3.植物(染材)を煮だして、染液を作る
マリーゴールドの花100g。染めたい布の重さの半量〜同量の植物(染材)を準備。(参考:草木染 四季の自然を染める 山崎和樹著)
不織布に入れて煮出すと、煮だした液を布でこす手間が省けて便利。
これ。ぐつぐつ煮だしても破れたりしない優れもの。もちろん薄手の布に包んでもOK。
ステンレスの鍋の中に植物(染材)を入れる。
水を入れて、火にかける。ストール1枚を鍋の中でゆらゆら動かせる量は約3リットル。1番液と2番液の合計が3Lになるように煮だす。まず、染材と1.5Lの水を注ぎ、加熱沸騰後、約15分間ぐらぐら煮出す。その後、煮だした染液は別の容器に入れておく。再び鍋に1.5Lの水と1番液を取った後の染材を入れて、同じように煮出す。
1番液と2番液を合わせた約3Lの染液が完成。紅茶のような色。
4.煮染めする
水に浸しておいたストールを軽く絞って、広げて染液に入れる。低い温度では染まりにくいので、だいたい70度くらいの温度を保ちながら(火加減はとろ火)、30分ほど煮染めする。ムラにならないよう時々トングや箸なので動かす。30分たったら、火を止め、染液が冷めるまで置いておく。冷める時に色がぐっと入っていくような気がするので冷めるまでほったらかす。煮物をイメージするとわかりやすい。
4.媒染液に浸けて、色素をしっかり定着させる
ストールはしっかり染まっていますが、このままでは、残念ながら洗ったり日光に当たったりするだけで、すぐに色落ちしてしまいます。そこで、布地に色素をしっかり定着させるための薬を使います。その薬を媒染剤といいます。媒染剤にも色々な種類がありますが、植物の色をそのまま楽しみたい時は、「ミョウバン液」がおすすめ。
布の重さの4〜6%の焼きミョウバン(今回は50gのストールだったのでみょうばん3g)を、お湯で溶かしてから、水を3L注いで媒染液を準備する。そこへ、軽く絞ったストールを媒染液の中へ入れ、菜箸でゆらゆら混ぜて、30分くらい置いておく。その後、水洗いして、再び染液の中へ入れ、煮染め→媒染液を何度か繰り返して、日陰で干して完成。
左から、ピンク系はラック樹脂、ブルー系は臭木、そして、辛子色のマリーゴールド。眺めているだけで、幸せな気分!